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東京競売ウォッチ

2021年10月5日

第571回 浅草橋の土地付建物が一番人気!!

 競売市場では開札日を迎える前に対象物件が開札対象から外れることが多々ある。その多くが、任意売却成立による「取下」である。しかし「変更」という理由で開札から外れる場合がある。これは対象物件の物件明細書、現況調査報告書、評価書の記載内容が事実と相違する部分があるか、追加的事実がある場合である。そして、その多くは数か月後にはまた競売市場に戻ってくる。

 9月22日開札で一番人気となったJR総武線「浅草橋」駅徒歩約7分に立地する土地建物は6月9日に開札日を迎えたのであるが、この「変更」で開札日が9月22日にて再登場した。「変更」の理由は、対象物件の建物の基礎が隣地に越境している事実と、それに伴い隣地との間で越境の覚書が結ばれていたことである。これに伴い売却基準価額が3%減額されて再入札となった。対象物件は土地が南側で幅員4mの公道に面した21坪強、建物は築21年で鉄骨造3階建、延床面積が約40坪であった。

 修正後の売却基準価額は3630万円で、これに対しこの日一番人気の44本の入札があり、最高価8010万円強で個人が落札していった。前回の6月9日開札では多くの入札希望者が対象物件の調査や入札価格の検討をしていたと思われる。「変更」の理由であれば、再び入札機会があるので、従前の調査・検討は無駄にならないのである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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