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東京競売ウォッチ

2011年2月28日

第80回高額戸建てに入札17本

 マンション人気が依然高い東京地裁であるが、これまで高額の専用戸建住宅などには比較的、入札本数は限られてきていた。これは不動産業者の応札が、こういった大型物件に対し、少なかったことに原因がある。

 しかし、ここへ来て若干様子が変わってきている。これについては先々週の本欄でも取り上げたが、この日も高額戸建てに多くの入札が集まり、不動産業者が落札していった。

 その物件は東急大井町線「北千束」駅徒歩4分に立地する、一戸建て住宅である。土地は南東側で幅員6.3mの公道に面する整形地で、約56坪ある。建物は築31年が経過した地下1階付き2階建ての木造住宅であり、延床面積は約60坪ある。

 この内容で売却基準価額が6,249万円であったが、これに対し入札は17本あり、落札価格は1億100万円であった。ちなみに、これは建物評価をゼロとした上で、建物解体費用を300万円程度考慮したとすると、1坪あたり約186万円となる。

 この競落水準は、この土地の正面路線価、1坪あたり約129万円と比較すると、その約1.44倍に相当する。落札業者の利益などを考えれば、再販価格は路線価の1.5倍以上の1坪200万円を優に超えてくるものと思われる。

 こういった住宅地としてグレードが高いエリアの高水準での落札は、市況回復のシグナルであるかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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