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東京競売ウォッチ

2016年5月31日

第324回 入谷のマンションに入札18本

 このゴールデンウィークでは、観光地は混雑するところが多かった。これは外国人観光客が増加したことも要因の一つである。今後も外国人観光客の増加が予想され、宿泊所不足が叫ばれるており、民泊への注目も高まっている。本年夏には民泊の規制緩和が行われる見通しで、マンションの1室でも合法的に宿泊ビジネスが可能になろう(なお最低面積や管理規約での禁止条項がないことなどの基準は付されると思われる)。

 そんななか、4月21日開札では、すでにウィークリーマンションとして運用されているマンションの1室が対象になった。

 その物件は東京メトロ日比谷線「入谷」駅徒歩約3分に立地する、築8年弱の1Kである。専有面積は約7.9坪で、サブリース業者が月額8.5万円にて借り上げている。年間の実質収入は管理費等、固定資産税等を差し引いて約83万円である。売却基準価額は896万円で、年9%超の利回りに相当する。

 これに対し入札は18本集まり、競落価格は1,900万円であった。この価格であると、年4%台になってしまい、決して高い水準ではない。しかし、この物件はまさに民泊運用すれば、かなり収益が上昇することが見込まれる。そして、サブリース契約については、代金納付後6カ月の明渡猶予経過後には解除できるので、競落者は民泊転用がそれほど待たずにして可能である。

 とするならば、この競落価格であっても先の4%台の利回りの2~3倍が狙える可能性がある。今後はこういった民泊転用が可能な物件に、それを念頭においた入札が増加していくように思われる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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