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東京競売ウォッチ

2025年11月25日

第769回 バス便オーナーチェンジ物件入札2本

 マンション価格の高騰が叫ばれる中、東京23区内の競売マンションでも入札本数は僅か2本で売却基準価額と同額で競落されるものがある。11月5日開札では常磐線「金町」駅徒歩約24分、最寄りのバス停から徒歩約1分の立地のマンションが対象になった。そのマンションは築30年が経過していて、専有面積約12.7坪の2DKの部屋であった。

 そしてこのマンションには最先の賃借権が存する。月額賃料7.5万円で、競落者は原則この賃借権を引き受けることになる。そしてこのマンションの管理費等は月額27440円で、固定資産税等は年額約58000円である。従って賃料実質収入は約51万円になる。これに対し売却基準価額は815万円であったが、先に紹介したとおり、競落価格も815万円であった。滞納管理費等が12万円弱あるなど付帯経費を考えて競落者としては年実質6%程度の利回りが得られる。競落したのが個人であることを考えれば収益目的での購入であったと思われる。

 ところでこの物件は既に賃貸中物件を偽って住宅ローンを購入者に利用させて売却した結果に競売となった物件であった。結果として住宅ローン詐欺として債権者に競売に付されたのである。競売となったものの競落価格はバス便物件でもあり、低くなった結果、債務者としては債務額を大幅に下回る金額しか返済できず、残債返済に長く追われることになるだろう。

 かつてこの物件はオーナーチェンジのバス便物件でなかなか売れず、住宅ローン詐欺に使われたのだろう。しかし結果としてマンション高騰が報道されている現在でも低位水準競落となっている。立地の格差を強く感じる事例であった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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