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東京競売ウォッチ

2016年1月12日

第305回 代官山、築29年のマンション

 2015年は12月22日が最後の開札日であった。この日の対象物件は35物件で、2015年1年の合計対象物件は1,000件を割り込み、974物件になった。弊社の記録では1998年が過去の対象物件のピークで、その数は9,077件であった。それと比較すると2015年は実に9分の1以下で、大きく収縮している。

 さて12月22日開札では、最後にして1年間における最高入札本数が集まった物件が登場した。その物件はマンションで、東急東横線「代官山」駅徒歩約3分に立地する。

 物件名は「コート代官山」で、対象物件は専有面積12坪強の2DKである。築29年のこの物件の売却基準価額は1,940万円であったが、これに対し入札73本が集まり、最高価4,093万円弱で再販業者が競落していった。売却基準価額の2.1倍強である。

 ちなみに、この対象となった部屋は10階部分であるが、現在7階部分に販売中住戸がある。そこは先の部屋よりやや小さい専有面積で11坪強、販売専有面積坪単価は約320万円である。今回の競落価格はこの販売価格水準を専有面積坪単価で20万円ほど上回る。明渡しや内装コスト、滞納管理費等(約20万円)を考えれば、マージンを確保するには坪単価400万円程度の再販価格となるだろう。強気の再販価格前提の入札であるが、これは2015年を象徴した競落結果であると言えよう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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