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東京競売ウォッチ

2014年2月18日

第217回 目を引く高額物件の個人落札

 2014年初めての1月21日開札は100%の売却率であった。競売市場の活性化は昨年より継続している。その中にあって高額物件の個人落札が目を引いた。

 その物件は東急東横線「代官山」駅徒歩約12分に立地する一戸建てである。土地は南西側で幅員5m強に接し、約90坪ある。建物は木・鉄筋コンクリート造地下1階付2階建て、延床面積は約120坪ある。

 さてこの物件は、トーゴ共和国が大使館の施設として使用されているとのことだが、正式な大使館としての利用も予定されていたようだ。仮に大使館が占有ということであると、「外交特権」から抵当権に後れる賃借権であっても、「引渡命令」は発令されない。

 この物件が昨年7月に評価されたときは、一旦外交特権が存するものとして扱われ、月額50万円という賃料に基づく収益還元価格が尊重され、約1億3,000万円の売却基準価額が設定された。

 その後、賃借人が一般社団法人に承継されたことから、外交特権が存しない前提に変更された。結果、高級邸宅として自用を前提とした評価が重視され、売却基準価額は2億2,760万円弱に切り上がった。

 これに対し21日は、入札20本が集まり、3億8,500万円弱にて個人が落札していった。

 この日は他にアジアの個人投資家による収益1棟ものの落札もあった。日本内外問わず個人富裕層の東京を中心とした不動産需要はいよいよ高くなっている。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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