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東京競売ウォッチ

2014年1月21日

第214回 2013年の競売市場分析(上)

 本欄では今週から3週にわたり、昨年(2013年)の競売市場の分析を行うこととする。2013年の競売市場は簡単に言えば「縮小かつ激戦の市場」である。

 一昨年(2012)の全国の競売新規申立件数は、司法統計によれば、38,873件であった。これは前年比で11%弱の減少であり、かつリーマンショック後の2009年比で見ると、実に42%強もの減少である。2012年の申立件数の減少は、そのまま2013年の開札対象件数の減少に結びついている。


 別掲の表は、首都圏(一都三県)の2012年と2013年の競落物件数の対比を示している。これを見ると首都圏では、1年で13%強物件が減少しているのである。高い競落率の状況にあって、これだけ物件数が減れば、競落競争が激化するのは当然である。

 競落競争は2013年の後半ほど激化していき、その中でもマンションに関して顕著であった。11月8日開札では、売却基準価額の2倍を超えるマンションが10物件あり、その中には駅から徒歩18分という足回りの悪い物件も含まれていた。

 また、東日本大震災後しばらくは旧耐震構造のマンションに入札が少ない傾向があった。しかし、2013年は旧耐震構造マンションにも、好立地物件を中心に大量入札があった。6月25日開札では、新宿区の3LDKの旧耐震構造マンションに46本の入札があり、売却基準価額の2倍を超える価格で競落された。

 中古マンション一般市場の好調ぶりが競落競争に拍車をかけているようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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