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東京競売ウォッチ

2013年8月20日

第193回 マンションの滞納管理費

 マンションの管理組合にとって、区分所有者の滞納管理費の回収は大きな課題である。滞納者からの回収が円滑にいかず、延滞金が嵩んでいくケースも多いだろう。

 管理組合は滞納者に対して管理費等の債権について先取特権を有するので、これを行使して、マンションの部屋を競売にかけることもできる。

 しかし、その部屋に抵当権等の他の担保権が設定されている場合、多くはそういった担保権が優先することから、この先取特権による競売申立てができない場合が多い。管理組合としては、他の担保権が実行され、競売になることは、競落者に対し先取特権に基づき、回収できることから、ある意味チャンスとも言える。

 7月23日開札では、売却基準価額が1万円という港区のワンルームマンションが対象であったが、この部屋は、この1月に期間入札対象であった。このとき、売却基準価額は滞納管理費相当金額のみを考慮して設定されていた。しかし、おそらく管理組合の申し立てで、そのときの開札は延期されたようだ。そして、今回は管理費等の延滞金も考慮し、売却基準価額が設定され、入札し直しとなったようだ。延滞金が大き過ぎることからマイナス設定できず、1万円の売却基準価額になっていた。

 管理組合も競落者から延滞金の支払を円滑に受けられるように、裁判所に申し立てたのであろう。ちなみに、このワンルーム、結果として31本もの入札があり、400万円超で落札されていった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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