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東京競売ウォッチ

2023年01月17日

第633回 2023年の1R競落動向を占う

 2022年のマンション競落はファミリーマンションが競落水準を上げる中心にあった。

 同じ立地において1Rマンションと専有面積30㎡以上のファミリータイプでは、ファミリータイプの競落水準の方が高い傾向にあった。これは低利の住宅ローンが利用できるということや、新築のファミリーマンションの供給が細っていたことが背景にある。一方で1Rマンションは収益目的であるので低利ローンを購入に使いにくい。さらにコロナウイルス禍により、1R賃貸市場が低調になり空室率が高くなったことで、投資家が購入を躊躇うこともあった。それ故に先のようにファミリーマンションの競落水準、具体的には専有面積1坪あたりの単価が高目であった。2021年から2022年は1Rの賃貸および売買市場にはやや逆風であったように思う。

 しかしアフターコロナに移行しつつある昨今、2023年は、飲食業界の景気回復や大学のリアル授業、課外活動の復活などがあり、これに伴い1R賃貸市場の回復が予想される。

 12月20日2022年最後の開札では京急本線「雑色」駅徒歩約5分に立地する築約5年の1Rマンションが同じ棟内で3部屋同時に競売になった。専有面積6坪強のこれら3物件は売却基準価額1100万円弱のところこれに70%上乗せの1800万円台中盤で競落されていった。この競落水準は専有面積1坪あたり300万円弱で、近辺のファミリーマンションの市場価格と同レベルである。

 2023年は増税やインフレ懸念から資産運用熱が上がりそうで、そういった面からも築浅を中心に(準)都心の1Rの競落水準が上がる可能性を感じる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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