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東京競売ウォッチ

2015年2月24日

第266回 赤羽の借地権付一戸建て

 2月5日開札は100%完売であった。競落1物件あたりの入札本数も15.7本と、こちらの数字も依然高水準だった。

 そんな中で目を引いたのがJR京浜東北線「赤羽」駅徒歩約10分に立地する借地権付の一戸建てである。敷地は幅員約2mの私道(42条2項道路)に面する約15坪であり、建物は築30年強の木造2階建てで延床面積約18坪である。

 この物件の売却基準価額は222万円強であったが、これに対し借地権物件としてはかなり多い入札18本が集まり、最高価600万円にて落札されていった。

 この物件、地代は月額11,700円であるが、滞納が半年分ある。現在は債権者が代払い許可を取って、供託しているようだ。したがって、借地権消滅のおそれはほとんどないと思われる。

 そして競落後の地主への名義変更料であるが、こちらは裁判所の評価書では50万円弱となっている。

 以上から競落者の取得コストは約660万円程度であろう。

 ところで、この建物は建築基準法上、建蔽率超過の瑕疵もある。したがって、借地権ということもあって、このまま改装して転売するのは難しいように思う。

 しかし、間取りは3DKであり、今普及しているシェアハウスでの部屋貸しには、大いに転用できそうである。シェアハウスでの運用であれば、年100万円を超える収入も見込めそうだ。

 入札者の多くは現状の建物を賃貸利用等する前提であったように思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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