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東京競売ウォッチ

2014年11月25日

第256回 売却基準価額の18倍超で落札

 11月6日開札も、すべて落札の状況であった。活況が続く競売市場であるが、この日は入札66本、売却基準価額の18倍を超える落札価格の物件が登場した。

 その物件は東京メトロ副都心線「小竹向原」駅徒歩約10分に所在する土地付建物である。土地は北東側、南東側でそれぞれ幅員4mの公道に面する角地で、地積は約70坪である。建物は用途が、工場・事務所・居宅であり、築41年の鉄骨造3階建て、延床面積は約140坪である。

 この内容で売却基準価額が281万円というのであるから驚かされる。所有者占有であるので、特段権利関係による減価はない。

 実は大幅な減価の理由は土壌汚染にある。評価書によれば、土壌汚染対策費用に何と7,000万円程度見積もっているのである。かなりの程度の汚染度合とみられるが、評価額のほとんどが土壌対策費という特殊な物件であった。しかし、そんな物件でも大いに入札が集まり、極めて高い上乗せ水準での落札になった。落札者はおそらく現実的な土壌対策費用を計算できる能力があるのであろう。

 ところで、11月4日に朝鮮総連本部が占有する千代田区富士見のビルについて、最高裁判所が落札者のマルナカホールディングスの売却許可決定の抗告を棄却した。これによって同社の買受人としての地位が確定された。

 長期にわたり、未決状態であったが、ひとまず決着を見た格好だ。今後は朝鮮総連の明渡がどうなるのかが注目されよう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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