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東京競売ウォッチ

2018年7月10日

第421回 一番人気も低上乗せ率!!

 6月21日開札での一番人気はマンションで京成本線「堀切菖蒲園」駅徒歩約5分に立地する。築4年弱と新しい物件で専有面積約18.5坪の3LDKである。14階建の8階部分で眺望も良く、所有者は2年くらい前まで民泊用として運用していたとのことである。最近は分譲マンションにおける民泊運用は管理組合規約で禁ぜられることも多く、この物件の所有者も民泊から撤退し、空室となっているとのことである。この物件の売却基準価額は2455万円でこれに対し25本の入札があり、最高価3011万円にて再販業者が競落していった。

 この日の一番人気の物件であったが、売却基準価額に対する競落価格の上乗せ率(以下「上乗せ率」)は22%強であり、さほど高い水準ではない。空室で所有者居住であり滞納管理費も30万円未満という条件でも50%を超える上乗せ率になっていない。これは売却基準価額を設定する際の積算価格算出において価格補正ということで25%を上乗せして算定している。この価格補正は、近隣の取引事例を勘案したとある。入札においてこの近隣の取引事例を参考とした価格補正が行われている物件は上乗せ率が低くなる傾向にあることを入札者としては注意をしたい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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