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東京競売ウォッチ

2010年4月26日

第39回借地権物件に大量22本

 競売不動産市場で特徴的なことの一つに、借地権付建物の物件が多いということがある。これは借地権物件が所有権物件と違って、買主に購入にあたっての融資がつきにくいことから、一般的に売却がしにくいという原因もある。そして、さらには、借地権物件の場合は譲渡にあたって地主の譲渡承諾を必要とするという問題がある。不良債権の担保である借地権物件を任意売却し、処理をしようとした場合には、売却しづらい上に、地主の承諾を必要とすることから、これが首尾よく進まず、結果として期間入札に入ってしまうというわけである。

 また地主とすれば、うまくすれば借地権が地代不払いなどで、消滅し、土地が戻ってくるチャンスもある。したがって、借地人の譲渡にはあまり協力的でないという側面がある。

 そして、期間入札においても、借地権物件への入札は少ないのが通例であった。しかし、このところそれに変化が生じている。

 4月9日開札では、借地権物件8物件すべてに入札があり、完売の状況であった。しかも、大量22本を集める物件も登場した。

 その物件は都営新宿線「西大島」駅徒歩5分に立地する。土地(借地)は12坪あり、西側で幅員約3.6mの私道(2項)に面している。建物は築25年以上経過の木造3階建て、延26坪弱ある。

 この物件の売却基準価額は400万円であるが、落札されたのは760万円で、落札者は個人であった。評価書では、地主への名義変更料を約70万円と見積もっているところから、取得総費用は850万円弱であろう。

 しかし、建物がだいぶ傷んでいるこの物件に、これほどの入札があったのは驚かされた。おそらくこの原因は今流行りのシェアハウスなどへの転用による収益物件としての魅力があると見込まれたからではないだろうか。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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