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東京競売ウォッチ

2016年11月1日

第345回 1番人気は菊川のマンション

 競売の場合、開札日の前日までは取下げが可能である。具体的には競売申立て人が抵当権等の抹消登記申請の上、裁判所に取下書を提出することによる。任意売却が成立したとき、この処理になるが、入札者としては、落札を目指し入札したものが、いわば肩すかしを喰うことになる。

 10月13日開札では、44物件が入札対象で公告されたものの、開札日前日までに16件が取下げになってしまった。競売公告がなされて、入札期間突入後の取下げは通常2割程度であるが、この日は4割近かった。

 この日、まさに開札日前日に取下げられた物件があったが、それは東急田園都市線「用賀」駅徒歩約11分の一戸建てであった。人気エリアでもあり、多くの入札があったものと推測される。

 そんな中でも、この日の1番人気はマンションで、都営新宿線「菊川」駅徒歩約2分に立地する、築14年の3LDKの部屋であった。専有面積は約19坪あり、売却基準価額は1,683万円であった。

 これに対し入札は39本あり、最高価3,240万円にて再販業者が競落していった。滞納管理費(約85万円)などを考慮すると、3,400万円程度の取得コストになり、専有面積坪単価は約180万円である。再販では内装コストや利益を考えれば専有面積坪単価は220万円、総額で4,100万円超が販売価格目標になろう。駅近で南西の角部屋であるという有利性から、売却見込み十分ありと見て、先の入札価格だったのだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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