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東京競売ウォッチ

2019年3月19日

第454回 アメ横再築不可物件が一番人気!!

 2月28日開札では、JR山手線「御徒町」駅徒歩約2分のいわゆるアメ横商店街にある物件が一番人気であった。

 この物件商店街の一角で商店会費も負担していたようだが、商店街から一本路地を入ったところに位置する。この路地は通路扱いであり、建築基準法上の道路ではないため、物件自体が再建築不可となる。土地は約6.6坪と狭小で、その上に昭和62年に建築された鉄骨造4階建、延床面積約21坪の建物が建っている。1階は喫茶店が賃借し営業しているが、2~4階は事務所・店舗の仕様であるものの現在空室とのことである。

 この物件の敷地はその評価上では建築基準法上の接道義務を果たしていないということで、7割減を施している。それもあって売却基準価額が1140万円であった。しかしそれに対し28本の入札があり、最高価4388万円にて競落された。競落者の社名を見ると貿易会社のようで、得難いアメ横の物件であるが故に事業のためにも是非購入したかったのではないだろうか。

 一方では借地権付建物ではあるが再築可能で築8年弱の築浅物件が入札1本に止まり、売却基準価額を下回って競落されている。最寄駅(東急池上線「久が原」駅)から徒歩約14分だが、大田区の環境の良い住宅街で、立地も悪くはない。しかし住宅であり、借地であることから購入ローンの不安も手伝い売却基準価額2526万円のところ最高価2345万円での落札であった。立地の希少性を感じさせた2つの競落事例であった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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