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東京競売ウォッチ

2015年6月23日

第281回 湯島の店舗兼ファッションホテル

 6月4日開札はかなりいろいろ変わった物件が対象になっていた。

 まずこの日、今年1月22日に開札予定であったのが「変更」を理由に開札が延期になった物件がある。

 その物件は東京メトロ千代田線「湯島」駅至近に立地する店舗兼ファッションホテルである。土地は南側で幅員22mの公道(春日通)に約3m、北側で幅員約3mの公道(2項道)に約6mにそれぞれ接する約31坪である。そして、その上には築45年を経過した鉄筋コンクリート造7階建て、延床面積約180坪の建物が建っている。この建物は1~2階が昨年までコンビニエンスストアで、その上がホテルになっている。

 売却基準価額は1月22日と同じ1億2,643万円であった。前回(1月22日)開札との相違は、事件記録の記載である。この建物のホテル部分は第三者の法人が非正常な賃借権を主張し、占有しているとあるが、今回その部分について執行官保管の仮処分がなされたことが物件明細書に追記されている。また、この物件は隣接地(約7坪)の地上権も競売対象であるが、これに対し、所有者が異議を申し立てている旨も記載された。これらの事実から前所有者や占有者と債権者等はかなりやり合っていたことが想像される。

 しかし結果として、そんな経緯の物件であれ、22本の入札があり、最高価4億5,677万円もの高額で競落されていった。まさに沸騰相場状態と言えよう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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