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東京競売ウォッチ

2013年9月17日

第197回 立地が最重要のマンション

 マンションへの強気の入札が目につく中、8月29日開札で、入札なく、特別売却に回った物件に目を引かれた。

 その物件は地下鉄千代田線「北千住」駅徒歩約19分に立地する、専有面積約14坪で2LDKの部屋である。築23年は経過しているものの、新耐震基準での建物であり、また買受可能価額が763.2万円で、専有面積坪単価が55万円弱と一見低い水準であったが、応札はなかった。滞納管理費も50万円程度あるが、それを斟酌しても坪単価は60万円には達しない。

 入札がなかったのは、おそらく駅から遠いことと、総戸数13戸と規模が小さいことが原因ではないだろうか。

 一方でこの日、JR山手線「高田馬場」駅徒歩約3分に立地する専有面積13坪強の3DKの部屋に48本の入札があった。このマンションは築39年を経過する旧耐震構造マンションであるが、売却基準価額599万円のところ最高価1,709万円強で落札されている。専有面積坪単価約130万円での落札である。

 このマンション、築古ではあるものの、山手線の駅に近い立地であり、かつ総戸数181戸と、まずまず大きい規模ということもあり、大量入札となったようだ。

 またこの日、築43年を超えるものの、「恵比寿」駅徒歩約5分に立地するマンションが売却基準価額の1.8倍超で競落されてもいる。

 マンションにとって立地は最重要なのであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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