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東京競売ウォッチ

2025年01月28日

第730回 2025年の競売市場の予測

 先週までの本欄では2回に亘り2024年の総括をしてきたが、それでは2025年はどうなるのか予測してみたい。それにあたり下のグラフを見てもらいたい。

 このグラフは全国の競売申立て件数と国税・都税の滞納件数を示している。統計集計上2023年までのデータにはなっているが、まずは2023年にこれまで十数年にわたり減少し続けた全国の競売申立て件数が増加に転じたのである。また国税の滞納件数は2019年から増加のトレンドとなっている。この2つの傾向から見るに全国的な景気はやや悪化傾向にあるとも考えられる。

 しかし一方で都税の滞納は一貫して減少を続けている。この違いが生じる原因はおそらく東京の不動産価格の上昇傾向にあると考えられる。ちなみに都税の滞納のおよそ3割は固定資産税と都市計画税と言われている。不動産価格上昇により、売却による滞納解消がしやすい状況が続いているのだろう。

 もし2025年の東京の不動産価格が反転し、下落に向かう局面となれば、都税の滞納は増加するだろう。都税滞納により不動産差押えが増加することになれば、これに呼応して民間の不良債権は増加することとなり、競売申立て件数が東京でも増加することになろう。そうなれば2025年は競売市場転換の年になるであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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