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東京競売ウォッチ

2014年7月29日

第240回 豊洲のマンションに入札60本

 7月10日開札では60本の大量入札のマンションが登場した。去る4月24日開札で西武新宿線「下落合」駅徒歩約3分のマンションに62本の入札があって以来の60本超え入札である。

 そのマンションは、ゆりかもめ「豊洲」駅徒歩約9分に立地する「THE TOYOSU TOWER」である。対象住戸は37階にあり、東向きで専有面積約22坪である。築約5年半のこのマンション、中古市場でも人気が高く、昨年11月に同棟38階の部屋が専有面積坪単価310万円弱で成約している。

 今回競落の住戸の売却基準価額は3,471万円で、競落価格は6,389万円弱であった。これは専有面積坪単価290万円を超える。

 競落会社は再販することが予想されるが、その際には専有面積坪単価は350万円以上、総額で7,700万円超の販売価格が設定されるだろう。

 競落結果から、半年で流通価格水準が1~2割上昇したという見方ができよう。湾岸エリアのシンボル的存在のこのマンション、オリンピック招致効果が反映しているのだろう。

 この日、同じく築浅高層マンションの32階に存する専有面積約60坪の部屋が開札になったが、こちらは入札7本で、競落価格は専有面積坪単価約95万円であった。これは先の豊洲の物件の約3分の1でしかない。

 この物件は、かつて高級マンションと言われた荒川区南千住に位置する「アクロシティ」である。高級マンションと言っても立地の相違によって競落価格が大きく変わるのである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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