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東京競売ウォッチ

2015年12月1日

第301回 品川のタワーマンション

 都心を中心に中古マンションが値上がりしている。競売市場においても落札価格の売却基準価額に対する上乗せ率が大きくなっている。

 11月5日開札では、JR山手線「品川」駅徒歩約7分に立地するタワーマンションが対象になった。このマンションは「品川Vタワー」といい、12年前に分譲された。分譲当時、販売坪単価は平均で324万円だったようだが、ここ最近の中古の売買坪単価は450万円を超えている感じである。分譲当時から比較して、約4割の価格上昇である。

 さて、開札対象となった部屋はこのマンションの最上階のメゾネットタイプの部屋で、専有面積が約35坪である。売却基準価額は9,455万円であったが、これに対し26本の入札があり、最高価1億6,340万円にて落札されていった。

 落札された専有面積坪単価は約464万円である。これに登録免許税や不動産取得税そして明渡しや内装コストを加えると取得原価は専有面積坪単価500万円に近くなりそうだ。

 タワーマンションの中でも最上階という希少性を考えれば、現市況においては決して高い落札価格ではないのだろう。競落者が再販する場合、坪単価600万円、総額2億1,000万円以上の価格になると思われるが、それでも買い手は付くと競落者は見込んだわけだ。

 しかし、税務当局がタワーマンション取得による相続税節税を認めない意向を示しており、これが相場に影響する可能性もある。入札者は今後この点につき注視をすべきだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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