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東京競売ウォッチ

2019年12月3日

第489回 フラット35違約競売登場!!

 今年の5月、朝日新聞の報道にて自住用の住宅ローンで金利が低く固定で優遇されたフラット35を投資用の不動産購入に流用されていたことが公になった。仕組みとしてはサラ金などの債務に苦しむ若い勤労者に対し、フラット35を使わせてマンションを購入させる。

 このとき実際の売買代金に上乗せして融資を実行する。(売買代金を膨らませた売買契約書を別に作成し融資審査を通したと思われる。)そして融資が実行されて売買代金との間の差額をサラ金返済に充てる。その上、購入した物件には住まず、即第三者に賃貸し、その賃料でフラット35の返済に充てていくというものである。

 高金利のサラ金返済に苦しむ勤労者の口コミでこの仕組みのマンション購入が頻繁になされた。これは明らかに優遇ローンであるフラット35の融資契約違反であり、フラット35の抵当権者住宅金融支援機構は調査の上、違反者に一括返済を求めている。

 違反者は融資金明細書などを実際の居住地に転送し受け取っていたようで、現在は転送を認めないようになっているという。11月21日開札ではこの仕組みで購入した違反者が住宅金支援機構から競売を申し立てられた案件が対象になった。

 このケースはもっとも悪質とも言える。というのも賃借人が購入前から賃借していて、いわゆるオーナーチェンジでフラット35を利用したのである。(登記簿謄本で経緯を確認できる。)融資期間の担当者の調査不足は否めないように思う。今後もこういった競売が出てくるだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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