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東京競売ウォッチ

2011年7月19日

第99回大震災後の競売市場

 7月7日開札では大震災前に競落されたものの、代金不納付と思われる理由で再入札となった店舗ビルがあった。

 その物件は京王井の頭線「下北沢」駅徒歩約5分の商店街に立地する。土地は約14.4坪で、建物は築約35年の鉄骨造3階建て、延床面積は約28坪である。

 建物のほぼ全体をレストランとして賃貸しており、賃料は月額37万円とある。実質年収は400万円程度見込めるこの物件の売却基準価額は1,610万円であった。これに対し入札31本が集まり、最高価4,401万円強にて落札されていった。

 ちなみに、この物件は今年2月8日に1回落札されており、その時の入札本数は32本と、今回とほぼ同じであった。競落価格は5,380万円と、今回より2割ほど高いが、次順位資格該当の入札者はなく、2番手を大きく引き離しての落札であった。そして、代金納付の資金調達が不首尾だったのか、今回の再入札になった。

 ところで、この物件の入札本数や競落価格を見ると、震災によって入札が弱気になっているとは思われない。

 また、この日は東京メトロ千代田線「根津」駅徒歩約4分に立地する、築10年で専有面積20坪弱のマンションに44本の入札があったほか、入札10本以上入った物件が全体の4割を超えた。

 競落1物件あたりの平均入札本数も10本を超えており(約10.2本)、震災の影響は競売市場においては、ここへ来てだいぶ薄れているように思える。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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