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2025年08月19日

第756回 十条のマンションに入札30本

 7月30日開札では、埼京線「十条」駅徒歩約6分に立地する「ライオンズマンション十条台」が一番人気となった。

 このマンションは築27年で専有面積約20坪の3LDKである。この物件の売却基準価額は3840万円であったが、これに対し30本の入札があり、最高価5750万円にて再販業者が落札していった。50%近い売却基準価額に対する上乗せ率での競落で強気の入札価格設定に思える。

 しかし近隣の築年や駅からの距離が近いマンションは専有面積坪単価300万円を超える販売中物件もあり、競落価格の専有面積坪単価約287万円は十分考えられる水準だと思う。このマンションの滞納管理費等は本年3月までではゼロ円で、室内写真を見ると、きれいに使用されていることも窺えるのが入札価格の高設定に繋がったのだろう。

 ところで、この物件の近隣において専有面積が20坪程度で築30年までの中古マンションの売り出し件数はレインズ上で10件未満であり、中古物件の在庫数がかなり少ない感じがした。昨今の中古マンション価格の高騰がマンション所有者の買換え目的の売却数を減らしているようにも思う。それにより希少性が高まり、価格が上昇している側面もありそうだ。先の十条のマンションおそらく専有面積坪単価350万円、総額7000万円を目指した販売も考えられるだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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