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東京競売ウォッチ

2011年9月5日

第105回道玄坂のワンルーム

 世界同時株安の状況が続いている。

 世界的景気の減速懸念は日本の株式にも大いに影響し、震災という特殊事情があったが、それ以上に世界の潮流による下降と言えよう。震災前の時点から日経平均は約2割下がってしまった。

 ただ、ちょっと注目したいのがリートの価格水準である。確かに、震災前よりは下がっているものの、東証リート指数を見ると、約1.5割の低下で、日経平均ほどではない。世界景気減速は輸出メーカーなどには円高もあって、減益要因であり、日経平均は押し下げられる。

 しかし、リートは国内不動産投資という内需型であるので、影響が比較的小さい。景気減速による金利低下は、むしろ不動産投資効率が上昇する。

 さて8月18日開札で、JR山手線「渋谷」駅徒歩6分の道玄坂に立地するワンルームマンションが落札された。昭和56年2月築という、いわゆる旧耐震構造の物件で、専有面積約8坪の部屋である。

 この物件の売却基準価額は285万円であったが、これに対し入札19本が入り、最高価590万円にて落札された。滞納管理費が170万円程度あるので、総取得コストは800万円弱である。旧耐震構造であっても、専有面積1坪あたり100万円は安いと判断されたようだ。

 ちなみにこの物件、震災直後の3月24日に20本の入札を集め、850万円にて落札されていたが、代金不納付で、再入札された。やはり、震災の影響で、旧耐震構造のこの物件、落札価格が低下したようだ。

 しかし、一方で相変わらず多くの入札を集めていることから、リートと同様に、好立地の現物収益不動産への需要は堅調に推移している。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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