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東京競売ウォッチ

2013年7月16日

第189回 旧耐震構造のマンション

 一般不動産市場では、新築マンションの販売好調という話をよく聞くが、好立地の中古マンションも同様に売れ行き好調のようだ。さらにまた、中古のうち旧耐震構造のマンションにおいても売買が活発のようだ。

 今年に入って競落マンションの落札価格について、その上乗せ率を調べてみると、実は意外なことに旧耐震構造のマンションの方が、新耐震構造のマンションよりも、その値が大きい。おそらく、旧耐震構造のマンションの中には好立地で利便性が高い物件が多いということが、その理由だと思われる。

 6月25日開札では、都電荒川線「学習院下」駅徒歩約1分のマンションが入札46本を集め1番人気になった。

 そのマンションは、昭和54年10月築で築後34年近く経過している旧耐震構造である。専有面積約18.5坪の3LDKで、売却基準価額が1,173万円であったが、これに対し、競落価格は2,530万円だった。これは売却基準価額に対し、上乗せ率116%弱、つまり2倍を超える水準である。しかも競落したのは、再販業者とみられ、おそらくリニューアルした上で、この競落価格の2~3割上の価格で売却されることになろう。

 古いけれども、好立地であり、かつ管理状態が良いマンションは、再販業者にとっては、むしろ手のかけがいのある仕入れ対象であるといえるのだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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