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東京競売ウォッチ

2016年11月29日

第348回 評価で話題のタワーマンション

 タワーマンションについては、今何かと話題になっている。まずは固定資産税・都市計画税を階層によって差を付けるということである。これについては、建物専有部分の評価額を階層の高いところは高く設定し、低いところは逆に割り引くという方法によるものと思われる。

 また、マンションは各戸に敷地利用権が付着しているが、この評価額について、階層によって差を付けることが既存物件でできるだろうか。共有持分の評価額はマンション敷地全体の評価額を、その専有面積の持分割合に基づき算出する。したがって階層の高い住戸に付着する共有持分価格だけを高くするとことは(共有持分を高層階が多く持つなどの)規約改正でもしなければできないと思う。

 建物(専有部分)評価額についても、新築時に設定された価格をベースにするので、差をつけるのは法改正後に建設された物件からとなりそうだ。

 一方で相続税評価額が実勢価格と階層が高い住戸の方が大きいことについても問題になっている。ただ、こちらは既存のタワーマンションについても、法によって修正できるように思う(例えばタワーマンションの相続税評価額を取得価額ベースにするなど)。

 さて、10月27日開札で一番人気となった物件がまさにタワーマンションであった。そのマンションは渋谷区に立地する「青山パークタワー」である。対象となった部屋は34階建ての8階部分という低層階であったが、立地の良さから43本もの入札があった。専有面積が13坪弱の1LDKで、売却基準価額は3290万円であったが、競落された金額は、その約2・4倍の7888万円であった。低層階であっても、立地の良さで高上乗せ率での競落になったようだ。

 いずれにしろタワーマンションは、今後の固定資産税等や相続税の見直し方法や見直し対象などの決定によって、人気の度合いが微妙に相違しそうだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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