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東京競売ウォッチ

2020年11月24日

第528回 低利回りの大量入札に驚き!!

 コロナ禍によりかねてから行っている政府・日銀の金融緩和策はさらに強化されている。株式やリートの投資口への日銀の購入は株価や不動産価格を下支えしている。一般投資家も預金増加を背景に株や不動産へのシフトがかなり進んでいると思われる。この傾向については競売市場では都心型の1Rなどの投資用マンションの入札動向からその動向が見える。

 11月4日開札ではJR山手線「池袋」駅徒歩約5分に立地する1Kのマンションが一番人気となった。そのマンションは築14年で専有面積9坪強であり、共益費込みの賃料月額10万6千円で賃貸中である。このマンションの売却基準価額は1688万円であったが、これに対し48本の入札があり、最高価3135万円弱で再販業者が競落していった。

 ちなみにレインズに掲載の成約事例を見ると専有面積坪単価で330万円程度が多い。本マンションに当てはめれば3000万円程度である。しかし、競落会社は先述の競落価格であった。成約事例から見れば強気の競落と言える。

 また利回りからも見てみると年収益は管理費等、固定資産税等を差し引くと105万円弱で、競落価格は年3.3%の水準である。そして競落した会社の再販価格はマージンを取れば年利回り3%を割り込む水準になるかもしれない。金融緩和を反映した投資用マンションの底堅いニーズが見える競落結果である。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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