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東京競売ウォッチ

2012年3月27日

第129回 間口が狭く狭小の更地

 3月1日開札で、都営三田線「田町」駅徒歩約5分に立地する土地(更地)が売却基準価額を下回って競落されたのに目を引かれた。港区内の更地が売却基準価額未満で競落されるにはそれなりの理由がある。

 まずは接道条件であるが、これは北東側で幅員25mの公道に2m以上面している。これに関しては問題がない。しかし、問題は、その地形である。間口約3.8mに対して、奥行き12mと、細長いのである。また延面積も14坪弱と狭小でもある。

 小さくまた、いわゆる「うなぎの寝床」のこの土地は建物建設がかなり制約を受けることになりそうだ。

 そんな対象土地の売却基準価額は3,261万円で、これに対し、入札は3本に止まり、競落価格は2,709万円強であった。

 入札本数が少なく、また競落の坪単価(190万円強)も、立地に比して、安価な印象を受けるが、利用価値からすると、この程度なのかもしれない。

 ちなみに、この物件の評価書では、この土地の評価において、間口が狭く、規模が小さいことによる減価は、30%で見ている。現実の市場では、それ以上のディスカウントが必要なのであろう。

 またこの日、新宿区高田馬場の約16坪の土地が、入札なく特別売却に回った。

 この土地の売却基準価額は坪単価約21万円の337万円であったが、売れなかった。その理由は借地権負担付の土地、つまり「底地」だったからである。この物件も評価書における物件の特殊性による減価では、応札には不足であったということなのだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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