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東京競売ウォッチ

2015年7月14日

第284回 築20年以上のワンルーム

 収益物件の中でワンルームマンションは、総投資金額が比較的小さいので、個人投資家向けである。その中で築年が10年以内くらいと新しく、専有面積も20㎡以上、かつトイレ・バス別の物件などは再販業者の競落が大方である。競落後、購入ローンを斡旋して個人投資家にマージンを付加して再販する。

 しかし、20年以上の築年で、トイレ・バスが一緒のいわゆる3点ユニットバスで専有面積15㎡前後の物件は、再販業者の入札は少なくなる。これは再販時に購入ローンを付けられないことが影響するのである。

 そんなわけで、そういったワンルームマンションは個人の落札が結構目に付く。6月18日開札でも、東京メトロ丸ノ内線「新中野」駅徒歩約4分に立地する築25年超で、専有面積15㎡強のワンルームマンションが個人落札であった。

 この物件は月額賃料58,000円にて賃貸中であり、賃借人は明渡し6カ月猶予対象者である。もっとも競落者は、ほとんど収益目的であろうから賃借人には6カ月経過後も、そのまま賃借してもらいたいところだろう。

 現賃借人がそのまま賃借した場合、管理費等と固定資産税等を差し引いた実質年収は約54万円である。そしてこの物件の売却基準価額は519万円であったが、これに対し入札が20本入り、競落価格は1,090万円であった。

 この物件には滞納管理費等が約14万円見込まれるので、それと登記にかかる費用など考慮すると、総投資額は1,130万円程度になるだろう。

 とすると、競落した個人が得られる年利回りは総投資額に対し4.7%強と、5%を割り込む計算である。人気エリアの物件とは言え、このタイプの物件は3年ほど前、年利回り7%程度の水準で競落されていたと思う。明らかに期待利回りは低下している。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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