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東京競売ウォッチ

2022年5月17日

第601回 北千住の再建不可?戸建てが一番人気!!

 古い一戸建については建設時に建築確認を取得しなかったりするケースも多く、接道義務を満たさないものも散見される。この場合当然ながら再建築が合法的にできないことや、再販がしにくい(購入者のローンが付かない)ことがあり、大きくディスカウントされてしまうことになる。

 4月27日開札ではJR常磐線「北千住」駅徒歩約4分に立地する一戸建が対象になった。土地は南側で0.9~2mの私道に面する約13坪で、建物は築55年の木造2階建で延17坪である。問題はこの接面私道である。敷地の一部が私道の一部として供されているのは良いが、その私道が建築基準法上の道路(第42条2項)にあたらない可能性があり、再建築不可の可能性が大きいと評価書の見解がある。

 そんなこともあり、評価書では土地の積算評価にあたり約6割の減価をしている。結果として売却基準価額は442万円であったが、これに対しこの日一番の48本もの入札があり、最高価2200万円にて競落されていった。売却基準価額の5倍近い競落水準に驚かされた。

 この落札の背景にはおそらく接面私道につき建築基準法の道路とする治癒の公算があることが考えられる。確かにこの接面私道の一部は建築基準法上の道路(第42条2項道路)のようで、建設の方法により合法建築ができる可能性も感じられる。入札前の役所との協議もしているであろう。このような物件でも昨今の物件不足のマーケットでは大量入札になる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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