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東京競売ウォッチ

2019年2月5日

第448回 2019年初開札一番人気は墨田区のマンション!

 2019年最初の開札が1月24日に行われた。この日一番人気であったのが、都営地下鉄浅草線「本所吾妻橋」駅徒歩約5分に立地するマンション。専有面積約17坪の2LDKの部屋で、築13年強である。売却基準価額は1700万円であったが、これに対し入札は42本あり、最高価3504万円弱で競落されていった。

 この競落価格は専有面積1坪単価約206万円と、一般市場価格の1割引程度とも考えられる。ただ物件の立地から競落者は強気の再販価格設定が可能と考えたのだろう。今年もエリアによって中古マンションには強気の入札がありそうだ。

 さて気になるのは本物件の占有者の賃借人である。この方が入居したのが差押後なのである。賃料から推して一般の賃借人であると思われるが、おそらくは競落者から明渡を請求されるであろう。入居して半年も経ず明渡を迫られることになる。契約日が僅かに差押登記の前であったので、明渡の6か月猶予は与えられてはいるものの、いずれにしても短期間での引越しは余儀なくされる。担保物件となっている物件を賃借する場合のリスクを改めて認識させられた。賃貸仲介会社もオーナーの与信には注意を払わねばならない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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