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東京競売ウォッチ

2012年12月25日

第163回 立石のアパートに入札24本

 今年の東京地裁の開札も今号で紹介する12月6日のほか、あと1回となった。再販業者は来年の販売商品の仕入れのため、強気の入札価格を設定する例が目立つ。

 そんな中、12月6日にアパートの対象物件に24本の入札が集まったのに目を引かれた。その物件は、京成押上線「京成立石」徒歩約8分に立地する、築25年を経過した軽量鉄骨造2階建てのアパートであった。

 敷地は西側幅員約6.3m、南側幅員約7.2mに面する角地で、広さは約104坪ある。建物は2DK10戸からなる(延床面積約120坪)。賃料は月額で約70万円、年額で840万円は見込めそうだ。

 この物件の売却基準価額は5,806万円であったが、最高価8,420万円弱で、不動産業者が落札していった。売却基準価額に対し、45%弱もの上乗せされた競落価格である。これほどの競落水準になったのは、収益性というよりは、敷地の条件にあると思われる。広い公道に面する角地で、路線価ベースで、7,400万円強の評価額になる。

 もし収益物件として、再販できない場合であっても、更地化できれば、建売用地(3~4宅地分割可能)として転用ができる。つまり、換金の出口が広い物件ということである。

 一方でこの日、大田区西六郷の一戸建てが売却基準価額を切り下げた2回目の入札でも応札がなかった。この物件は接面道路の使用権に問題があり、競落後の換金の出口が見えにくい。換金の出口想定は入札にあたって大きなポイントになるのである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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