リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2024年11月12日

第720回 北区の崖下土地が再度の入札無し

 昨今能登地方をはじめ全国で線状降水帯発生に伴う土砂崩れ被害のニュースをよく聞く。斜面地における住宅の危険性を認識させられる。そんな中、10月23日開札にJR京浜東北線「東十条」駅徒歩約6分に立地する更地が競売対象となった。この土地の広さは約60坪あるが、まさに急な斜面地の下に存する土地である。この土地の下は2m以上低くなっており、対象土地は斜面の中腹に立地している。接道する道路は下からの階段状になっていて、5m以上高く上に公道があるが、そこからは出入りできない。写真で確認できる対象土地から見上げる斜面は、古いコンクリートで覆われ一部劣化破損している。

 そんな土地であるが、今年7月31日に一度開札が行われた。そのときの売却基準価額は3853万円であったが、入札は無く、再度今回入札対象となったのである。前回の不落札を受け30%減額された2698万円を売却基準価額としたが、今回も入札は無かった。こういった崖の下にある土地はそもそも最初の入札時点で評価書上個別格差を相当程度付けて減額するべきだったと思うが、実際はそればなされず売却基準価額が付けられていた。

 そもそもこの対象土地は土砂災害警戒区域に指定されているのである。前述したように多く報道される土砂崩れのテレビ映像を見れば住宅建設用地としての購入意欲はなおさら湧かないだろう。果たしてこういった土地に更なる価格見直し(減額)がなされたとして入札があるのか、今後も注目していきたい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.