リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2018年5月29日

第415回 超高率の上乗せ率公売底地!

 競売不動産の量が減少してから相当長い時間が経過している。そんな中で税金の滞納処分、つまり税金の強制回収である不動産公売にも不動産業者は目を向けている。しかし、公売不動産には難あり不動産が多く見られる。

 5月8日開札となった東京国税局が実施した公売では東京23区内土地は1件のみで、しかもその土地は借地権が設定されている底地であった。加えて接道義務を満たしていない再建築不可の敷地である。その土地は東急目黒線「武蔵小山」駅徒歩約4分に所在する面積約40坪である。この土地の見積価額(最低売却価額)は154万円であったが、これに対し落札した個人は入札価格3260万円弱をつけた。何と見積価額の21倍を超える上乗せであり大変驚かされた。この土地は前述のとおり接道は無く、おそらく評価額は接道ある土地の5~6割かと思われる。近傍の路線価から推してこの土地の相続税評価額を計算すればおそらく2500~3000万円程度ではないだろうか。しかもこの土地は底地である。この地域の借地権割合は6割なので、この対象となった土地(底地)の相続税評価額はその4割1000~1200万円程度と考えられる。それに対して落札価格が3260万円というのはいかにも高すぎる。落札者名は借地人とは相異するようであり、場合によっては更地と勘違いしての入札かもしれない。公売の資料については権利関係が分かりにくいこともあるので、注意をしたいところである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.