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東京競売ウォッチ

2011年1月3日

第72回2010年最後の開札

 2010年最後の開札となった12月16日は競落されなかった物件は2物件のみと、相変わらずの高落札率であった。

 2010年、低グロスのファミリーマンションが競売市場の活況をリードしてきた感がるが、最後の開札では、1番人気となったのは、店舗付住宅であった。

 その物件は東急目黒線「西小山」駅徒歩3分に立地し、土地は約28坪で、これに築約23年の鉄骨4階建て、延床面積約67坪の建物が建っている。1階は飲食店に賃貸していて、最先の賃借権として承継する必要がある。2階から4階はそれぞれ2DK(2階)と4LDK(3・4階)の住宅になっている。1階の賃料は月額16万円であるが、承継義務のある保証金が実質800万円超ある。

 この内容で売却基準価額が2,225万円であったが、これに対し35本の入札があり、最高価5,236万円強にて落札されていった。この物件を収益物件と捉えると、1階の収益のほか、2~4階の収益を合計すれば月額50万円ほどが期待できる。年600万円程度見込める収益性が入札を集めたと考えられる。

 またこの日、江戸川区内に立地する築約20年で、鉄骨造の店舗兼共同住宅が入札27本を集め、売却基準価額の2倍を超える3,400万円強にて競落されていった。これは年利回り約12%の水準である。

 実はこの物件、建ぺい率等オーバーで既存不適格物件であった。それにもかかわらず、27本もの入札があった。高収益物件は遵法性が必ずしもネックにならないようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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