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東京競売ウォッチ

2011年8月2日

第101回湾岸エリアのマンション

 震災で生じた液状化現象の報道は千葉県浦安市について多いが、その他、東京の湾岸地域でも見られた。そのような状況から、住宅も湾岸エリアより内陸部物件に人気がシフトしていると言われる。

 競売市場において、この辺の影響はどのくらい生じているだろか。

 7月21日開札で、江戸川区の湾岸エリアである、東西線「西葛西」駅徒歩12分に立地する大型の団地物件「清新ハイツ」が対象物件にあった。築26年が経過しているものの、根強い人気があった物件である。

 この物件は震災によって、マンションそのものへの被害はなかったようだが、評価書には「西葛西駅から通じる公道の一部に液状化現象による起伏があり、復旧工事を行っていた」旨の記載があった。ただ、建物自体への損傷がなかったことから、売却基準価額算定において、特段の減価は施されてはいない。

 さて、今回の対象住戸は専有面積約17坪で売却基準価額1,250万円であったが、これに対し入札が9本あり、落札価格は1,380万円強であった。売却基準価額に対する落札価格の上乗せ率は10%強である。

 ちなみに昨年10月に、この物件と同じ清新町に所在する専有面積23坪強のマンションが落札された。築7年と新しいことがあったようにも考えられるが、売却基準価額に対し、約50%もの上乗せ率で競落されている。

 競売市場においても、震災による液状化地域物件について、少なからず入札価格の低下が生じていると考えられる。

 デベロッパー、再販業者とも仕入れに慎重な部分もある。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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