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東京競売ウォッチ

2025年07月15日

第752回 城東築35年1R、ネット5.5%競落

 先日新聞報道でアットホームの東京23区内単身者向け賃貸物件の賃料調査の結果が紹介されていた。それによれば需要旺盛で平均賃料が初の10万円超になったとのことである。コロナ禍において需要が減退した単身向け賃貸であるが、ここへきて需給はタイトになっている。これを受けてワンルーム事業者は業績が好調のようである。ただワンルーム事業者の多くは仕入れに苦労している様子である。

 6月25日開札ではJR京成金町線「京成金町」駅徒歩約3分に立地する1Rマンションが対象になった。この物件、築約35年で専有面積約7坪であり、月額5万円で賃貸中にある。管理費や固定資産税等を差し引いた実質収入は年約36万円となる。この物件の売却基準価額は340万円であったが、これに対し24本の入札があり、最高価598万円にて業者が落札していった。この物件には50万円超の滞納管理費があるので、競落者の取得総コストは約650万円になり、実質年利5.5%の競落水準である。

 さてこの物件はバス・トイレ一体型のいわゆる3点ユニットバスとなっている。こういった物件で且つ築年が35年となると、その立地と合わせたところで購入に関わる融資を金融機関は扱わないと考えられる。金額が小さいこともあるだろう。

 従ってこういった物件はワンルーム業者は仕入れないことが多いが、本件は業者の落札であり、次順位資格の2番手入札者も業者であった。これまではこういった物件は個人落札が多かったのであるが、ここへきて業者落札となっている。ワンルーム業者も仕入れの幅を広げているように思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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