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東京競売ウォッチ

2023年01月24日

第634回 2022年東京地裁競売市場の総括

 昨年2022年は東京地裁本庁の競売開札対象物件は表1のとおり前年比38物件(5.18%)減とやや減少した。そして売却率は99.57%と2021年比0.66%上昇し、ほぼ完売の状態であった。

 2022年の年初での本欄ではアフターコロナによりゼロゼロ融資などの政府の金融支援の終了によって競売物件が増加する可能性を記したが、結局そうはならなかった。それはコロナ流行が収まらず事業者への金融支援は継続され、更に超金融緩和も続いたことで倒産件数が抑制されたためだろう。また2022年の倒産企業において不動産業の割合が低かったことも競売対象物件減少の要因と考えられる。

 さらに表2東京圏(一都三県)の競落物件数を見ると前年比で各県とも大幅に減少し、一都三県全体で23%強減であった。さらに表3のとおり東京以外の主要都市においても2022年の競落物件数は前年比でいずれも減少している。

 また表4を見ると落札価格の売却基準価額に対する上乗せ率が2022年はかなり前年比で上昇しているのが分かる。この競落水準の上昇は不動産市場の好調さを反映しているものと考えられる。


山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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