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東京競売ウォッチ

2018年4月10日

第410回 築古好立地マンションは建替え視野の落札か?!

 築古マンション建替え促進のため、デベロッパー等への区分所有権の全体売却などについて、行い易くする建替え円滑化法が一昨年成立した。その後同法に基づく再開発などが行われつつあるかと思うが、顕著にはその動きは見えない。しかし、好立地の築古マンションについては、長期的な投資観点で売買されることもあるだろう。

 3月13日開札で、西武池袋線「江古田」駅徒歩約3分に立地する築44年を経過したマンションが対象になった。このマンションは、管理状況が悪く、老朽化が激しい。対象の部屋は専有面積約15坪の2DKで月額賃料13万円にて賃貸中である。この賃借権は最先の賃借権であり、競落者は引き継ぐことになる。

 さてこのマンションの売却基準価額は1417万円であったが、これに対し入札は6本あり、最高価1611万円にて不動産会社が落札していった。実質利回りは年8%程度得られそうである。競落者はまずまずの収益性の賃貸資産として当分保有し、将来建替えとなれば、相応のキャピタルゲインを期待できる両にらみが可能な立地であると言えよう。

 このマンションの敷地は約125坪あり、(対象の部屋の共有持分は35分の1)幹線道路面の整形地である。この辺の利点が入札者の興味を引いたのではなかろうか。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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