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東京競売ウォッチ

2011年11月15日

第114回 築37年のマンション

 10月27日開札では、前回に引き続いて100%落札であった。

 高落札率が続く中、この日、築37年と古いマンションが1番人気だったのが目を引いた。そのマンションは東武東上線「中板橋」駅徒歩約7分に立地し、専有面積約11坪の2Kである。

 売却基準価額は361万円であったが、これに対し入札が28本あり、最高価902万円強にて落札されていった。

 古い築年にもかかわらず、大量の入札があり、売却基準価額の2.5倍もの高値で競落されたのは、市場での流通価格が見えやすい物件なのだろう。しかし空家状態で、競落後すぐに利用できることや、東日本大震災後に現況調査や評価が行われていて、特段震災の影響が指摘されていないことも人気を呼んだ要因ではないだろうか。

 またこの日、築41年とかなり古く、かつ接道条件を満たさず再建築が合法的にできない木造のアパートが対象物件にあったが、入札7本を集め、売却基準価額2,432万円に対し、その30%超上乗せの3,259万円にて競落されていった。

 この物件、再建築不可であることに加え、敷地内に防空壕が存することや、隣接建物の一部が越境しているといった物理的な疵がある。さらには建物の占有関係が不明確な部分もある。

 こういった難点はあるものの、競落後、権利関係整理など行えば、賃貸収入が600万円以上見込める魅力があり、それが入札が集めたようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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