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東京競売ウォッチ

2010年2月22日

第30回 底地物件に入札集まる

 このところ対象物件数がややまた増加の傾向になってきた。そして、入札もマンションを中心に相変わらず活発である。特に都心築浅のマンションについては、入札価格の設定が強気になされている。

 そんな中、2月9日開札では珍しい底地の物件に多くの入札が集まったことに目を引かれた。その物件は京浜東北線「蒲田」駅徒歩9分に立地した延約356坪で、借地人は9人である。9人全員の月額地代合計は約34万円で、年400万円強である。固定資産税等は不明であるが、おそらくは100万円未満であろうから、この土地の純収入は年300万円程度ということになる。

 これに対し、売却基準価額が5,603万円であったので、これで購入できれば(登録免許税等を考慮しなければ)年5%以上の利回り確保が可能である。また、この土地の相続税評価額については、正面路線価が1坪112万円ほどであり、借地権割合が60%なので、底地評価は40%の1坪約45万円で、全体としては売却基準価額の3倍近い1.6億円にも上る。

 結局、この底地には計15本もの入札があり、最高価8,811万円にて本物件の共有者が落札していった。そもそもこの競売は相続人による共有物分割のための換価競売であったが、結果的に相続人の1人が買い受けたのである。

 底地という特殊物件ではあったが立地の良さや安定収入が確保できることから、多くの入札があったようだが、相続人には及ばなかったようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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