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東京競売ウォッチ

2016年2月9日

第309回 1番人気は赤塚のマンション

 2016年最初の開札は1月21日であった。年初から株価の急落があったが、入札状況は1物件を残しすべて競落と、変わらずの活況であった。その中で入札を1番集めたのが、東京メトロ副都心線「地下鉄赤塚」駅徒歩約5分に立地するマンション。築15年強で専有面積約20坪の3LDKの部屋である。売却基準価額1,890万円のところ入札39本が集まり、最高価3,147万円強にて再販業者が落札していった。

 この地域の成約状況を見てみると、昨年秋に同様な立地、築年の部屋が坪単価170万円強売買されている。この成約水準で先の競落物件の再販価格を算出すると約3,400万円になる。とすると、取得のための税金や内装費用など鑑みると、競落会社はほとんどマージンが得られないことになる。

 おそらくは再販価格は坪単価190万円程度を設定せざるを得ないだろう。ただこの部屋は角部屋で大きなルーフバルコニーが付いているといった強みはあるので、そのぶん高く売却できる見込みを立てたのだろう。しかし、いずれにしろ市況を強気に見ての入札であることには相違なかろう。

 またこの日、先の赤塚のマンションを競落した同じ会社が大田区の東糀谷に立地する築30年近い旧耐震基準のマンションを売却基準価額の2.2倍以上で競落している。ちなみに、この物件も角部屋で広いバルコニー付である。入札価格が部屋の個々の特長を吟味して設定されてきているようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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