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東京競売ウォッチ

2017年1月24日

第354回 物件減少が続いた2016年

 本欄では今週は2016年の総括を行いたい。昨年は年初予想した通り、対象物件の減少が一昨年から引き続いた(図表1参照)。しかし、2014年から2015年の減少幅と比すると、その幅は減少している。図表2は一都三県の競売物件売却物件数の3年間の推移であるが、一都三県全体で見ても、明らかに物件数の減少幅は小さくなっている。埼玉県においては少しではあるが、むしろ増加した(逆に千葉県は減少幅が大きくなっているが)。

 図表3は売却基準価額に対する落札価格の上乗せ率を記しているが、これを見ると、競落水準は2016年全体を通して2015年比で高くなっている。しかし、マンションに関しては低下していて、本欄の昨年12月19日号にも記したが、一部タワーマンションなどで、競落水準が下がってきている現象も見られ、足元では競落価格の低下が起こっている感じがある。

 また、昨年は収益物件への大量入札と高上乗せ競落があった。中でも3月10日開札の新大塚のマンションについては88本の入札があり、売却基準価額7,070万円に対し、その3倍を超える2億1,610万円で落札されていった。年実質利回りは4%程度である。

 この他にも駅前の狭小区分店舗が高い上乗せ率で競落されたりして、マイナス金利政策の影響が強く感じられる年でもあった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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