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東京競売ウォッチ

2025年04月15日

第740回 三軒茶屋で坪単価700万円超落札

 最近都心部のマンションの価格が建物の築年数や階層そして分譲事業者などにより、同じ最寄り駅でも価格格差が広がっているのを感じる。4月9日開札では、東急田園都市線「三軒茶屋」駅徒歩約9分に立地するタワーマンションが高額落札されたのに目を引かれた。

 このマンションは「ザ・パークハウス三軒茶屋タワー」の21階部分の専有面積約18坪の2LDKの部屋である。このマンションは30階建てのタワーマンションで、築13年と比較的新しい。最近の取引事例を見ると専有面積坪単価600万円程度もある物件である。それが売却基準価額8080万円と専有面積坪単価約450万円で入札となった。

 これに対し入った札は26本で最高価1億2700万円にて競落されていった。この競落価格は専有面積坪単価約705万円であり、成約事例から一般の成約価格以上と言ってもおかしくない。競売によるディスカウントを感じない水準で競落されるのも、このマンションが大手(三菱地所レジデンス)分譲の比較的築浅タワーマンションの上階であるというプレミアムがあるからだろう。

 実際に同じ最寄り駅(三軒茶屋)徒歩圏でも専有面積坪単価300万円以下での成約物件がある。マンションのグレード格差がこの地域は特に大きくなっているとも考えられる。またこういった高グレードなマンションの売り物の数がそもそも少なく、買取業者も強気の仕入れをせざるを得ないという事情もありそうだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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