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東京競売ウォッチ

2016年1月26日

第307回 2015年の競売市場の総括

 今週も続いて2015年の総括を行いたい。

表1は売却基準価額に対する落札価格の上乗せ率である。これを見ると、2015年は全種別物件の平均で前年比9ポイント近く上昇した。とくに、借地権付建物の競落価格の水準がかなり高くなったのがわかる。またマンションも4年連続で上昇していて、これは市場の動向を反映した結果だろう。

 市場価格の上昇を受け、再販業者の強気の競落が続いた1年であった。借地権付建物についての上乗せ率急上昇は、やはり対象物件数の激減がその背景にあろう。JR京浜東北線「赤羽」駅約徒歩10分にある借地権付一戸建てに入札が18本集まり、売却基準価額222万円のところ、その約2.7倍の600万円にて売却されたのは、借地権物件の高い上乗せ率落札の一例である。再販業者は借地権にも挑戦しないと、仕入れが確保できない状況なのだろう。

 続いてグラフ1は落札1物件当たりの入札本数の推移を表わしたものである。これによれば、平成27年(2015年)下期は16.12で、相変わらずの競争状態であるが、平成26年(2014年)下期に16.49本を記録してから2半期連続でわずかながら低下している。さすがにあまりの高水準競落が続いていることで、競売市場への参加を控え始めた業者等も多くなったかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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