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東京競売ウォッチ

2023年03月07日

第640回 共有物分割換価競売が一番人気

 競売市場では債権回収手段としての競売以外、形式競売がある。これは相続などで共有状態になった不動産に対し共有物分割請求訴訟を経て行われるものである。これにより各共有者は金銭にて分配されることになる。2月17日開札ではJR中央線「高円寺」駅徒歩約7分に立地する一戸建が対象となったが、これが形式競売であった。土地は南西側で幅員約5.3mの公道に面する約20.7坪で建物は築21年の木造3階建で延床面積約28.5坪である。この物件の売却基準価額は3604万円で、これに対しこの日一番の46本の入札が集まり、最高価6600万円強にて再販業者が落札していった。

 さてこの形式競売は不動産業者が共有持分(5分の4)を買い取り、他の共有者(本件は一人で5分の1)に対し共有物分割請求を行った結果なされたものである。登記情報から察するにこの物件はそもそも夫婦共有で購入したところ、離婚したため物件処分を行うことになったが、売買に関して協議が纏まらず一方の共有者が共有持分のまま不動産業者に売却したものと思われる。共有持分を取得した当該不動産業者は相手の共有者と売却処分につき再度協議したものの纏まらず今回の競売に至ったのだろう。競落した再販業者は競売を申し立てた不動産業者では無かったが、申立て業者は競売の配当で利益が得られるのであろう。一般的に離婚による共有不動産の処分は、双方の協力が得られにくいことで、こういった処分にならざるを得ないこともあるだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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