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東京競売ウォッチ

2022年4月26日

第599回 杉並区の収益物件高上乗せ率競落!!

 このところ収益1棟物件の高値取引がよく話題になっている。背景には物件不足もあるが、インフレ警戒から個人の投資家が不動産投資に目を向けていることと、それを後押しする金融機関の積極融資姿勢があるだろう。4月13日開札でJR中央線「西荻窪」駅徒歩約2分の店舗兼共同住宅が対象であった。

 この物件土地は北側、西側で公道の2項道路に面していてセットバックを除いた有効面積は約32坪である。建物は1985年10月築で鉄筋コンクリート造の4階建で1階は店舗2階から4階は計7戸の住宅になっている。3階の一部と4階はメゾネットタイプの住戸で所有者が居住で建物の延べ面積は約75坪である。

 この物件の家賃収益を考えるとメゾネット住戸の家賃設定が難しいが、およそ月額70万円強、年額にして約850万円くらいであろう。この条件で売却基準価額が7064万円であったが、これに対し27本の入札があり、最高価1億4900万円にて不動産会社が競落していった。売却基準価額の2倍を超える高上乗せ率での競落であったが、この競落水準では表面利回りで年約5.7%と決して高くない。

 これほどの高水準落札になったのはおそらく土地が立地などで評価が高く、銀行の担保評価が高く出ることがあるように思う。それにしても収益不動産の価格レベルが高い状況に市場がなっていることを反映しているものと考えられよう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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