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東京競売ウォッチ

2009年10月12日

第12回 活況を呈すマンション入札

 10月1日開札では、依然マンションへの入札は大量であった。江東区東砂の築10年の大規模マンション 「ライオンズステージキャピタルイースト」に59本の応札があったのをはじめ、入札20本以上の物件が15物件で、 全54物件のうち応札がなく、特別売却に回った物件はわずかに1物件という盛況ぶりであった。

 ただその一方で、事業用土地等が9物件応札なく特別売却に回っている。その中の一つが台東区千束4丁目の 駐車場である。この土地は特殊浴場が集まっている地域にあり、隣地や正面の土地も特殊浴場という立地である。 広さは60坪弱で、南西側で幅員9mの公道に面する整形地である。商業地域で容積率も400%あり、通常であれば 条件の良いビル用地と言える。

 この土地の路線価は坪約106万円であるので、相続税評価は総額で6,300万円ほどになる。しかし、今回の 売却基準価額は4,323万円で買受可能価額は3,458万円と、相続税評価額の半分近くでも買える水準であったが、 1本の応札もなかった。

 ちなみに、この土地は今年3月に1回開札対象になっていて、この時の売却基準価額は相続税評価額を若干下回る 6,175万円であった。結局、特別売却でも売却されず、今回3割相当額もの減額をしたものの、売れなかった。

 特殊浴場は法規制上、この土地に新たには建てられないこともあり、利用用途が限られ、その結果、安くても 敬遠されたのであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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