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東京競売ウォッチ

2021年6月8日

第555回 前回高額落札物件が再競売で特売に!!

 近時不動産の遵法性は取引にあたって益々重要性を増している。特に建築確認取得が可能であるかどうかは、中古一戸建てにおいて価格に大きく影響する。建築確認の取得が不可、つまり再建築不可であるのは専ら建築基準法上の道路に2m以上接しているかどうかが決めてである。

 5月19日開札においてJR常磐線「亀有」駅徒歩約16分に立地する1戸建てが対象になった。この対象1戸建てが再建築不可である。敷地は32坪強あるが幅員3mの通路を介しての出入りである。この通路は他に複数の近接土地所有者と共同使用している。まさに再建築不可の状況である。

 そしてその敷地の上には築52年を経過する鉄骨3階建てで床面積約67坪の建物がある。こういった物件の場合、古い現存の建物を改装して賃貸もしくは売買向け商品化を行うしかない。ちなみにこの物件の売却基準価額は1384万円であったが、昨年12月23日に1回競売対象になっていて、入札1本あり、最高価2256万円で競落されていた。

 しかし、その時の競落者は競落後に商品化コストなどを勘案したのか、代金納付をせず、今般再競売となった。代金納付をしなかった前回競落者は入札保証金277万円弱を放棄したことになる。おそらく見込み違いだったのではないか。気を付けたいところである。そして今回の開札では入札がなく、特別売却に回っていった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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