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東京競売ウォッチ

2013年1月15日

第164回 大泉学園の戸建てに入札40本

 12月20日、東京地裁は2012年最後の開札を迎えた。この日も相変わらず、多くの入札が集まった。

 その中で40本の最高の入札本数が集まった物件は、練馬区内の戸建てで、西武池袋線「大泉学園」駅徒歩約8分に立地する。土地は東側で幅員5・5㍍、南側で幅員6㍍に面する角地の延約71坪で、建物は昭和19年築の古家である。物件としては、建物は取り壊す前提で、土地のみとしての評価ということになろう。

 この物件の売却基準価額は5330万円であったが、競落価格は、その2倍近い1億524万円弱であった。競落したのは不動産会社と思われるが、その競落水準の高さに驚かされた。路線価が坪102万円程度であるので、相続税評価額で約7300万円になるが、競落価格は、その約1・44倍にあたる。

 住環境や交通利便性が良好であるうえ、整形の東南角地という得がたい好条件の土地であったので、この競落価格になったのだろう。

 また、この日はJR総武中央線の「新小岩」駅徒歩約6分の共同住宅に26本もの応札があった。鉄筋コンクリート造で築18年、管理状態の良い1棟物であるが、敷地の権利が借地権であった。しかし、それでも大量入札が集まり、かつ競落水準も売却基準価額の2倍に近かった。

 衆院選の結果、新政権によって金融の大緩和が行われ、それにより不動産価格が上昇すると見る向きもある。先の2つの競落結果は、そんな観測を先取したような感じである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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